アマゾンマーケットプレイスで販売をしていると会計上、売上の期末処理(決算処理)が必要になります。
確定申告(青色申告)では、必ずしなければなりません。
期末処理って何?という方もいるかもしれません。アマゾンマーケットプレイスでは、期をまたぐ売上の記帳のことです。
ネット販売に限らず物販ならどのような形態でも、期末処理の仕組みは同じです。
ここでは、mokuのようなシニア世代でもアマゾン販売の期をまたぐ売上の帳簿付けができるよう、ていねいに解説します。ただし……
手を動かしながら、読み進めてください。
でないと、これを書いている自分でも溺れます(笑)
発生主義と現金主義
まずは基礎知識です。分かっている方は飛ばしてください。
ご存じのように、正しい帳簿付け(複式簿記)には鉄則があります。
会計年度(個人事業主は1月1日~12月31日)の売上は、その年に入金があろうがなかろうが、その年の売上とする。
たとえば、年が明けて1月5日に10万円の入金があり、この中には前年12月中旬~下旬の売上3万円が含まれていたとします。その場合は、この12月分の売上3万円を会計年度(前年)の帳簿に反映させなければなりません。当然、3万円は新年度に回収します
これを「発生主義」と言います。
青色申告の複式簿記(貸方、借方で仕訳)の基本です。65万円控除(e-Tax申請なら)がもらえるメリットがあるので、個人事業主はほとんど複式簿記でしょう。白色申告のメリットはまったくありません。
一方で、「入金されてはじめて帳簿をつける」「入金がなければ帳簿を付けない」という記帳の仕方があります。つまりもうけなら、商品が売れた売れないに関係なく、入金したときに計上します。
これを「現金主義」といいます。
いわゆるお小遣い帳、家計簿です。白色申告ならまだしも、青色申告65万円控除では「現金主義」は認められていませんが、それはあくまで原則です。
というのも、所得税の確定申告は何のためにするでしょうか。
納める税金を正しく計算し、正しく納めることに尽きます。
売上というのは、個人事業主にとって、最も重要な勘定科目です。もうけ(事業所得)を計算するためのベースだからです。そこで、mokuはアマゾンマーケットプレイスで、次のようにして売上を計算しています。
発生主義と現金主義の併用です。
- 期中は入金ごとの現金主義
- 期をまたぐ入金は、会計年度と翌年分の切り分け
「期中」というのは、「売上も入金も会計年度内」という意味です。これに対して、期をまたぐ入金というのは、アマゾンからの入金の中に2年分の売上がまたがっているケースです。
1年分の決済表の作成の仕方
まず、準備として1年分の決済表を作成します。
おなじみのセラーセントラル(販売管理画面)のレポート→ペイメントです。
次の「過去の決済確認」へと進みます。
こんな表示になります。決済期間の一覧ですね。アマゾンマーケットプレイスでは原則として2週間ごとに決済され、指定口座に入金する仕組みになっています。
やや強引な手法をとります。コピーしてExcelにはりつけます。コピペ(コピー&ペースト)です。
左クリックでドラッグし、べろーんと範囲を指定します。1度では1年分を指定できないのので、コピーしてExcelにはりつけ--を繰り返します。
その際、左下の表示数を最大の「20」にしておくと、一度にコピーできる範囲が広くなりますので、コピペの回数が少なくなります。
コピペデータをExcelにはりつけ
次にExcelなどの表計算ソフトを開きましょう。コピーしたデータをはりつけ(ペースト)た画面は次のようになります。オプションは「貼り付け先の書式に合わせる」にしてください。
強引なコピペなので、崩れています。整形してやりましょう。
下を見ながら、やってみてください。空白行もすべて削除します。
そうしてできたのが次の表です。
これは後から、さらに加工するので、大切に保存しておきましょう。」
最初と最後の決済期間に注目してください。期をまたいでいます。
一番上の決済期間は「2020/12/19-2021/01/02」になっていますね。つまり、この決済データには、
- 2020/12/19~2020/12/31
- 2021/01/01~2021/01/02
の両方が含まれていることになります。期をまたいでいます。これを切り分けなければなりません。
そのためには、2020/12/19-2021/01/02の売上表が必要です。それがないと、切り分けができません。
期またぎの決済期間の売上表の作成
売上表を出すには、先ほど、コピペした画面に戻り、左側の決済期間「2020/12/19-2021/01/02」をクリックします。
なんだ、このページは!ホルンか?
気にせず、あきらめずにいきましょう。右下に「この期間のトランザクションを確認」をクリックします。見つけにくいですね。
ふう、ようやくたどりつきました。これが、この期をまたぐ期間の売上一覧です。
再び、強引にコピペします。右上のボタンからダウンロードしてExcelにはりつけると、加工の手間がとてもかかります。あきらめて、ここでもコピペで対応してください。
ほかにいい方法はないのだろうか。
コピペしているところです。いつものように、右クリックメニューのコピーですね。
決済表のコピペと同じように、左下の表示数を最大の50にすれば、コピペの回数が減ります。
はりつけている画面です。コピー→ペーストを何回か繰り返します。
2020/12/19-2021/01/02の売上をすべてコピペしてください。2週間の売上が数千以上あるセラーだと、結構時間がかかるかもしれません。めげずにやりましょう。
売上表の切り分けの仕方
これを加工します。
つまり、12月分、1月分の売上を切り分けるのです。
下のイメージを参考にしてください。
期をまたぐところに、太い横線を引いて、集計しています
下の2枚のイメージは同じ売上表の上下です。
12月、1月ともに列を合計しています。Excel関数はSUMですね。
それぞれ①~⑧が何を意味するのか、下の表を見ながら、確認してください。
①1月分の売上
②1月分のアマゾン手数料
③1月分の売上にかかる消費税など
④1月分の入金
⑤12月分の売上
⑥12月分のアマゾン手数料
⑦12月分の売上にかかる消費税など
⑧12月分の入金
表の下の部分です(同じ表です)。こちらが大切になります。
表の項目(上の右側)はこうなっています。
「その他」がくせものです。実はこの「その他」の中に購入者が支払った消費税が含まれているのです。なぜなんだ、と聞かないでください。ここではそういうものだと思ってください。
なので、12月中の税込売上は⑤+⑦になります。
次はamazon手数料です。
12月分のamazon手数料は=売上(⑤+⑦)ー12月分の売上に伴う振込額
10万円の税込売上があって、それに対応した振込額が6万円だとしたら、4万円はアマゾン手数料としています。amazon.co.jp内部でどのような処理をしているかは吟味していません。4万円が差し引かれている事実に着目します
最後の決算仕訳はどうやる
ここまでが、年をまたぐ期末処理の下準備です。長かったですね。いよいよ決算仕訳です。
まずは税込売上からです。繰り返しますが、期をまたぐ決済期間は「2020/12/19-2021/01/02」ですね。
これに対応した売上の入金があったのは、1月5日でした。
つまり、2020/12/19~2020/12/31の「売上ーamazon手数料」は会計年度中に振り込まれず、年をまたいでいます。
売り上げたのに、入金は年越しということなので「売掛金」ですね。売ったのに回収はまだという意味です。
次にamazon手数料です。
また、この期間(2020/12/19~2020/12/31)に、売上に対応したamazon手数料が「発生」していますが、会計年度中はまだ支払っていません。なので、これを「未払金」とします。
ここで処理した12月分の税込売上とamazon手数料が年を越したことになりますね。
では、翌年度はどのように記帳すればいいでしょう。
実際の入金は1月5日なので、その時に、上の二つの仕訳の打ち消せば(逆仕訳すれば)いいのです。つまり、1月5日に「前年の売上入金しましたよ」「手数料払いましたよ」という仕訳です。
これによって、1月5日の入金仕訳から前年分(2020/12/19~2020/12/31)の売上とアマゾン手数料が除かれることになります。
仕訳方法は上の右と左(借方貸方)を逆にすればOKです。分からなければ、コメントください。追記します。
アマゾン売上の期末処理の問題点
ここまで、自己流の期末処理の仕方を説明してきました。複雑なので、記事にすべきかどうか悩みました。また、問題点や疑問点もあります。
- 決済ベース(今回)と月次ベースの売上表のフォーマットが異なり、売上額の切り分けと確定が怪しい
- 消費税の取り扱い(課税事業者)がアマゾン側で過渡期
- アマゾン側の手数料などの複雑さに伴う会計処理の混乱
こうしたことも、徐々に理解を深めて、より正しい効率的な仕訳や確定申告ができれば、と思っています。ここでは、セラーセントラル画面のコピペで売上表を作成するような、自己流の強引な期末処理の仕方を解説してきましたが、これがベストだとはmokuも思っていません。
勘違いや間違いもあろうかと思います。
また、セラーセントラルで用意した売上ファイルのダウンロードによって、一発で解決する手段があるかもしれません。でも、現時点では、米国製を日本語に翻訳しただけのダウンロードファイルは膨大な加工が必要だったり、使い方が分からないのです。
以上はmokuの入力例です。税務の専門家ではないので、間違っていたり、もっとこうしたらいいということがあるかもしれません。参考するにしても、あくまで自己責任としてください。できれば、ページのハードコピーを税理士や会計士、税務署職員に示し、是正点があれば、コメント欄でフィードバックしていただければ幸いです。そのうえで、当記事を修正・改訂していきます