無謀にも10月から消費税が8%から10%に増税されます。政府が言う、延期のためのリーマンショック級の景気後退局面は起きませんでした。
消費税上げは4年延期された末に、いよいよ実行されます。
一方で、米中貿易戦争、ドイツや英国など欧州の景気衰退、アルゼンチンなどの新興国の通貨不安ーーと世界経済は怪しくなってきています。日本も例外ではありません。
給料ぜんぜん増えていないし、マイホームやリフォームなど大きく消費しようにもお金がない。国民のほとんどが、増税前の駆け込み需要すら余裕がないと思われます。
政府がなんと言おうと、日本はデフレのまっただ中です。これみてください。

東京新聞HPから引用
賃金の推移を示したOECDのデータです。増えるどころか、減っています。近年、企業収益は上がっていますが、それは従業員の給料に反映されません。労働分配率が著しく低いのです。
背景には、法人税減税などで企業業績を大切にし、その代わりに雇用環境を犠牲にするというアベノミクスのエッセンスがあります。
そこにきて、消費税上げです。そもそも、給与が伸びずカツカツで、消費そのものが増えないので、消費税上げによる税収も思うように増えないでしょう。分かりきっています。副作用が大きく、体力が弱った中小企業は吹っ飛ぶんじゃないでしょうか。
ただ、それでも、景気の減速は、来年の東京五輪・パラリンピックまでは相殺されて持ちこたえるでしょう。
でも、それが終われば令和不況がやってきます。
そう指摘する識者は多いし、mokuも「消費税上げは愚の骨頂」だと思っています。
消費税はものを買うたびにかかる「罰金」のようなものです。罰金が増えるので、消費は必ず減ります。いや、消費税は国民の福祉のために使われると考える方もいるかもしれません。
そもそもが、消費税10%は、国民にとって「罰金」「税金」という色分けなんか関係ありません。ただ、国が個人の給料や財布に手をつっこんで持っていくお金なのです。
お金はお金です。「罰金」だろうが、「税金」だろうが、どうでもよく、たしかなことは出ていくお金なのです。1万円札には福沢諭吉の肖像がありますが、「罰金」とか「税金」とか書かれていません。
羽が生えて、どんどん飛んでいく。それが消費増税です。
ここでは、消費者が知らないと損をするキャッシュレス決済のポイント還元について分かりやすく説明します。
目次
複雑で不可解な軽減税率
まずは、念のためのおさらいです。消費増税は8→10%ですが、飲食料品(酒など除く)は8%に据え置かれます。軽減税率です。また、ファストフード店などのテークアウトは8%、店で食べたら10%と紛らわしい。
ファストフード店で「ハンバーガー持ち帰ります」と言って、店内の端っこでこそこそ食べる人、いそう。
いかにも分かりにくい。消費者の混乱を招くでしょう。そこで、ファストフード店、レストランチェーンではここにきて、持ち帰りと店内飲食の税込み価格を統一する流れがあります。
報道によりますと、国内のファストフード店で、店内外の税込み価格を統一するのは、マック、KFC、フレッシュネスバーガー、すき屋、松屋、サイゼリアなどです。
一方で、店内外を別価格とするのは、吉野家、モスバーガー、スタバ、ガスト、ロイヤルホストなどです。
こちらは、店内で飲食したら10%の消費税をきっちりとられます。外食産業、見事に分かれましたね。
キャッシュレス決済のメリットは
一方、増税に伴うショックを和らげようと国が期限付きで導入しようとしているのが、キャッシュレス決済のポイント還元です。通産省が言うには
キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)
だそうです。アメックスやJCBカード、VISAカードなどのクレジットカードのほか、JR東日本のSUICA(スイカ)や、東京メトロのPASMO(パスモ)、nanacoも使えます。即時口座引き落としのデビットカードでも、PayPayもOKです。
通産省は事業の説明資料で、お店にとってのキャッシュレスのメリットも挙げています。人手不足対策、手間・トラブル対策--などです。
一方、消費者にとってはどんなメリットがあるのでしょう。
いずれも経産省の資料から引用
ポイント還元の期間は10月から9カ月間
では、キャッシュレス決済によるポイント還元はいつからでしょうか。2019年10月から20年6月までの9カ月間です。お店でキャッシュレス決済すると、ポイントがもらえます。
買い物した額の5%とか、2%とか--。増税分(8→10の2%)を上回るポイント還元で、お得感を出そうという戦略です。
消費税を上げると国民の負担が増えてしまうので、しばらくはキャッシュレスで決済すると、ポイント付与という形で国民にバックする。したがって、あくまでも消費に伴うポイント還元です。「還元するから、もの買ってね」です。
クレカ会社やお店の持ち出しはありません。国民の血税でまかなわれるのです。たぶん、これじゃ、足りないでしょう。
でも、そんな巨費を投じて、国民は消費を増やすでしょうか。
5%還元の店を見分けるには

Robert-Owen-Wahl / Pixabay
また、国の補助で還元してくれるお店には条件があります。
自営の中小のお店です。
商店街に古くからあるラーメン屋さんや大衆食堂、服屋さんをイメージすればいいでしょうか。
大企業は対象外です。資本金などで足切りされます。大規模チェーン店や大型スーパーが、キャッシュレス決済でポイント還元するとすれば、それぞれが自腹でやるしかないのです。やってくるかもしれません。
子どもの入学祝いで外食したらどうなるの
以下がポイント還元のイメージでしょうか。
子どもが学校に入学したので、入学祝いに外食することになりました。家族3人で3丁目の商店街の中華料理店に出かけました。昭和時代から経営しているひいきのお店です。
そこで、ひとしきり、食べたあと、レジで会計をしたら「3000円」になりますと言われたました。払う税金やポイント還元はどうなるでしょうか。
まずは消費税です。持ち帰りではなく、店内で飲食したので外食扱い、つまり10%かかります。
支払い額は3300円ですね。
現金で払わずに、たまたま持っていたSuica(プレイペイドカード)で払います。そうすると、ポイントを還元してくれます。中華料理店はフランチャイズではなくて、中小のお店なので、還元率は5%です。ポイント還元額は……。
3300円×5%=165円分です。
この結果、子どもの入学祝いの外食費は実質的に次のようになります。
3000円+300円(消費税)-165円(ポイント還元)=3135円
ただ、注意したいのは3135円というのは「実質」ということです。
つまり、ポイント還元される165円分は後日、使わなければなりません。使うのを忘れてしまったら、165円は無駄になります。
ポイント還元といっても、次の消費を前提にしているのです。
この辺も分かりにくい。後日ポイントを使うという概念は、現金主義の中高年や年寄りにはありません。なので、回りくどいことをしないで、キャッシュレスで支払うときに、即5%値引きするという流れが広っています。
JCBや三井住友カードなどクレカ大手5社は、後から使えるポイントを付与するのではなく、その場で値引きして対応することになりました。口座からダイレクトに引き落とされるデビッドカードもその場で値引きになるようです。
ポイント分の値引き販売です。
コンビニは2%のポイント還元上乗せ
国の基準でいえば、大手企業であるコンビニは、本部の直営店ならポイント還元なしで、フランチャイズ店(加盟店)ではポイント還元ありです。
でも、同じコンビニチェーンがポイントあるなしでまだら模様になってしまうので、本部負担で「一律2%上乗せ」となるのでしょうか。
ちなみに、報道によりますと、マックは全国約2900店のうち、900店の直営店はポイント還元を見送り、残りのフランチャイズ店2000店で実施する方向のようです。まだら模様やむなしといった感じでしょうか。
また、セブン、ファミマ、ローソンなどの大手コンビニはいわゆる2%のポイント還元ではなく、キャッシュレスなら、そのまんま価格の2%引きとするようです。
これだと、店の実質値引きが優先されます。電子マネーやPayPayなどで決済しようが、ポイントが還元されることはありません。二重還元になってしまうので、当たり前ですが、実質値引きされていることを知らずに「ポイントがついていない」という苦情が相次ぎそうです。
このように、店の対応、決済事業者の対応--の組み合わせがあり、かなり複雑な仕組みです。
そもそも、中高年や高齢者はポイントなんて分かりません。少なくとも、実質値引きのほうが、お得感を実感できる。つまり、ポイント付与というまどろっこしいことをせずに、そのまんま即値引きしてしまうというお店が増えそうな気がします。
じじい世代にとっては、好ましいことです。
大型スーパーは還元なしだが、横並びで上乗せか
キャッシュレスのポイント還元といっても、三越や伊勢丹などの百貨店は、中小のお店ではないので、対象外です。
イオンやイトーヨーカ堂などの大型スーパーも対象ではありませんが、消費税上げで自分のところだけ売上が落ち込んだら困るので、なんらかの値引きをしてくる可能性があります。
消費者のためというより中小のお店のためのポイント還元

mohamed_hassan / Pixabay
国が巨費を投じて消費者還元をするのはなぜなのでしょう。
そもそも、イオンなどの大手スーパーなど基礎体力がある大企業は、消費増税に併せて、国が補助しなくても「消費税還元セール」をやるでしょう。何もしないということは考えられません。楽天市場、ヤフーショッピングなどの巨大ショッピングモールもしかりです。
クリアランスセールやバーゲンセールなどをしょっちゅう、やっているので、お手のものでしょう。ネットショップなども、増税にかかわらず、10倍還元、20倍還元とか自腹でどんどんやってきています。
そうなると、コンビニならもだしも、競争力がない中小のお店は閑古鳥が鳴いて、窮地に陥ってしまう。
なので、中小のお店のポイント還元分を国が補助するのです。お店の持ち出しはありません。国費によるポイント還元策は、消費の落ち込みを避け、中小の小売店などを保護する意味合いがあるようです。
なんといっても、小さな商店は自民党の大切な支持基盤です。
ここまで読んできて、分かりましたか。ハイ、みなさん同じように思います。
どこの店でポイント還元が受けられるのか何が何だか分からない。
ポイント還元店は全国で24万店
ポイント還元の対象店は登録制です。
9月5日現在の対象店は全国で577,885です。多いのか少ないのか分かりません。
たぶん、登録するのが面倒なので、かなり少ないでしょう。でも、ここから探すのは至難の業です。なので、グーグルマップで対象店が分かるようなスマホのアプリも作るそうですが、情報弱者の高齢者やシニア世代には関係ありません。
また、通産省特製のポスターを対象店に掲示したり、各地イベントでちらしを配りまくったりしますが、どこまで国民に周知できるか分かりません。
こうしたキャッシュレス決済の広報・宣伝に使われる国民の血税は400億だそうです。
アマゾン出品者も登録受付中
巨大モール・アマゾンでもマーケットプレイスへの出品者を対象に、登録を受け付けています。mokuは会社勤めのかたわら、副業でささやかにアマゾンで物品販売をしているのですが、アマゾンから「登録しませんか」とメールが届き、お誘いの電話もかかってきました。
立ち上がりがかなり遅かったので、アマゾン経由では募集しないかと思っていました。
冷静に考えれば、アマゾンへの出品者が消費者還元の対象にならないとしたら、同じ商品、同じ価格の商品なら、自動的にアマゾン価格が高くなります。
販売競争力がなくなってしまうので、死活問題です。なので、登録事業者を募ることは当然のことです。
登録では、国の審査があるので、確定申告書の提示を求められます。10月1日には間に合わないかもしれませんが、個人事業主として手続きだけはしました。
国の補助事業で、持ち出しはまったくないので、登録しないという選択はありません。
ただ、不備があるかもしれないので、申請が通るかどうか分かりません。