新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言で、時短営業を余儀なくされた飲食店などは大打撃を受けました。それに伴い、飲食店と取引をしている業者にも影響が及んでいます。
また、不要不急の外出の自粛要請で、旅行・観光関連、小売店、映画館・カラオケ、美容室やマッサージ店にもなども苦境に陥りました。
こうした事業者向けに給付されるのが一時支援金です。給付額は法人60万円、個人事業主・フリーランス30万円です。
もらえる条件として、かんたんに言えば……。
- 2021年1~3月のどれかの月の売上が、前年、前々年の同じ月の売上と比べて半分以下
- それが、緊急事態宣言による、時短営業や外出自粛によるもの
の2点です。また、営業の時短に伴う自治体の協力金を申請をしている事業者は対象外となります。受給資格は、公式HPに詳細に記されているので、目を通しておいてください。
また、緊急事態宣言が長引いていますので、5月末に一時支援金の申請が締め切られると、月次支援金の申請が控えています。おそらく、まったく同様の手続きになるでしょうから、このブログを参考にしてみてください。
目次
給付申請の前提は事前確認
一時支援金の給付額は少ないものの、2020年の持続化給付金の第二弾という内容ですが、大きな相違点があります。
それが、登録機関による事前確認の有無です。
つまり、一時支援金をもらうには、第三者に事業実体を確認してもらう必要があります。2020年の持続化給付金では、事業実体のない虚偽申請が相次ぎ、不正受給や詐欺が横行したからです。
そもそも、登録機関というのは何でしょう。国から事前確認を委託された商工会、商工会議所、青色申告会、農協、漁協などの諸団体のほか、税理士、公認会計士、行政書士などの士業のことです。
商工会議所や農協などの会員・組合員なら無料で事前確認をしてもらえます。顧問税理士・行政書士がいれば、ほとんど無料でやってくれるでしょう。一方で、顧問契約のない弱小個人事業主やフリーランスは、登録機関を探して、一からお願いすることになります。
これが結構やっかいです。
赤字で大きく「事前確認の手数料は無料」と強調していまね。また、「9割が無料で確認を受けている」ともあります。
このように「無料が原則」なのに、手数料をとる士業があります。国から1件1000円の手当を辞退すれば、それができるのです。
ネット上の広告でも散見されます。
持続化給付金の申請代行と同じように、今回も商機とみているのでしょうか。個人事業主がもらえる満額はたった30万円ですが、3万~6万の中抜きです。でも、それぞれの事情があるので、腹は立ちません。批判もしません。
ただ、毎度のこと、鼻白みます。
これだけ、中抜きされると、さすがに割が合いません。給付金や支援金は国民の血税なのです。
そこで、無料で事前登録機関を見つけるプロセスを駆け足で解説していきます。mokuの体験談です。
まず、事務局に電話で紹介してもらう
敷居が高いと思うでしょうが、まず、これやってみましょう。土日も問い合わせができます。
ここに電話して、適当に1とか2とか番号を押してつながったらこう言ってください。
「●●県●●市の個人事業主です。登録確認機関を紹介してください」
これだけです。
まず電話口では、商工会や商工会議所などの会員でないこと、顧問税理士などがいないこと、取引先の金融機関がないことを確認されます。そちらで、無料でやってもらえるよ、という説明です。
弱小の個人事業主なので、そうした関与先がないと答えると、住所地に近い3カ所程度の登録確認機関を口頭で紹介してもらえます。オンラインでの事前確認なので、どこの機関に頼んでもいいのですが、「お近くの確認機関」が紹介されます。
「複数紹介するから、自分で決めてね」
そんな感じです。メモしましょう。
ただ、事務局から教えてもらえるのは、名称(税理士事務所など)、所在地、電話番号、営業時間(営業時間、土日可か)です。メールアドレスは口頭では誤りが多いのか、積極的に示さないようです。
さて、この検索サイトでも自力で検索できるので、事務局への電話の問い合わせと同じという声が聞こえそうですが、メリットは次の2点です。
- 少なくとも評判が悪くない登録確認機関を紹介してもらえる可能性がある(有料無料は要確認)
- うまくいけば、事務局直轄の登録確認期間(無料)を紹介してもらえる
直轄の機関を紹介してもらえればラッキーでベストですが、国がそれほど多くの機関を確保しているとは思えません。
mokuが問い合わせたところ、「3件紹介するからとりあえず、自分で当たってみて。それでもだめだったら、また電話ちょうだい」というニュアンスでした。
しかも、応対したのは、アルバイトとおぼしき声の若い女性でした。少しでも込み入った質問をしようものなら、アウトになりそうな印象でした。ただ、返答に困ったら、エキスパートが後ろに控えているのでしょう。
五つの機関にメールで問い合わせる
次に、事務局で教えてもらった3件の登録確認機関を公式ページで検索します。メールアドレスを確認するためです。
都道府県と市区町村を検索窓に入力し、事務局から紹介してもらった登録機関があるかどうか調べてください。必ずあります。
それを見つければ、そのメールアドレスが大体分かります。
メールでの問い合わせが無難です。電話でそれぞれ問い合わせてもかまいませんが、担当者がいなかったり、返答が遅れたりと、イライラ、やきもきするからです。
先方もメールに慣れていますし、電話のような時間の拘束もありません。夜中でも対応できます。
文面はこんなんでいいでしょう。件名は「★一時支援金の事前確認のお問い合わせ★」などとしてください。
下記はコピペして使ってかまいません。
●●事務所御中
お忙しいところ、恐れ入ります。
●●県●●市の個人事業主です。一時支援金の申請を考えております。
主な事業として●●●をしています。
緊急事態宣言に伴う●●●●によって、経営不振に陥りました。
商工会議所、青色申告会など加入団体はありません。
つきましては、たいへん恐縮ですが、
以下についてご教示いただければ幸いです。
1、一時支援金の事前確認はまだ受け付けているますか
2、クライアント・会員以外の手数料の有無
3、ZOOMなどを使ったオンライン確認はできるでしょうか
なお、すでに中小企業庁サイトにIDを登録し、
確定申告書、決算書(青色)などの書類もそろえています。
※中小企業庁事務局から紹介いただきました。
当局からは複数の事務所・団体に問い合わせるよう指示がありました。
ぶしつけな連絡、たいへん失礼かと思いましたが、どうかご容赦ください。
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日本太郎 090-xxxx-xxxx xxxxxxxxxxx@gmail.com
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私情や憶測を一切はさまずに、機械のようにメール送信
なぜ、問い合わせは5件なのでしょうか。
5件に問い合わせれば、無料の登録確認機関が見つかる可能性が高まるからです。事務局に3件を紹介してもらったので、残りはどのようにして見つけるのでしょうか。
はっきり言いますと、どこでもかまいません。
検索リストからえいやっと選んでください。Zoomによるオンラインの事前確認が主流なので、郷里の税理士に頼んでもいいでしょう。また、ネット上には無料で対応している税理士・行政書士事務所なども多くあります。そこに問い合わせてもかまいませんが、ほぼスケジュールは埋まっているようです。
mokuも問い合わせましたが、キャンセル待ちで、事前確認ができるかどうか確約できないということでした。
メールで問い合わせする際のポイントは……
- 依頼文面のコピペを使って5通のメールを同時に作成し、必ず一斉送信する
- 私情をはさまない。後からだと断りにくいからといって、1件ずつ順番に問い合わせて、だめ(有料)だったら次、という悠長なことをしていたら、いくら時間があっても足りない
- とにかく機械的に
いきなりメールに尻込みする方がいるかもしれませんが、先方に迷惑がかかることは一切ありません。問い合わせに慣れています。
早ければ即日、遅くても2営業日以内に返信があります。返信がなかったら、催促せずに縁がなかったと無視してください。
ここまでビジネスライクに淡々と進めてください。次は返信メールへの対応です。
登録機関からの返信への対応は
「無料でやります」という返信が来たら、すぐにお願いしてもかまいません。
「1万円で引き受けます」という返信だったら、次のように返すといいでしょう。ギリギリまで無料対応をしてくれる機関が見つからず、「時間がないので1万円ならいいや」という時のためです。これも機械的にメールを送信してください。
●●事務所御中
お世話になっております。
ご丁寧な対応ありがとうございます。
各登録機関からの返信がそろいしだい、条件を熟慮し、
当メールでお願いすることがあるかもしれません。
その際は、よろしくお願いします。
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日本太郎 XXXXXXXXX@gmail.com
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事前確認の日時が決まったら
一時金の申請プロセスなので、事前確認には必要書類があります。
注意してほしいのは、事前確認をお願いするのは、上記の書類がすべてそろってからです。
とりあえず、事前確認というのではなく、書類をすべて整えてから事前確認にのぞむようにしましょう。
確定申告の書類でもこれだけが必要になります。
ただ、普通に申告を毎年している個人事業主ならすべてそろうはずです。新たに用意するものはありません。もし、書類に不備があったり、足りなかったりする人は、もがいてもいいのですが、高額な支援金ではないので、申請自体をあきらめるのも一つの手立てです。
その労力からして割が合わないし、無理矢理取り繕うと、ほころびが生じます。持続化給付金と同じように後日、申請内容のおたずねや調査が予想され、そこでもバタバタする可能性があるからです。
特に上記のように確定申告書類が2020年と2021年の2年分ないと、手続きがとても面倒です。申請の途中ページでそこから売上を転記するからです(青色申告のケース)。
また、国税庁の電子申告・納税システムe-Taxの申告書類は、受信通知(メール詳細)も必要となります。このブログでも解説していますので参照してください。ネットバンキングでの通帳イメージの出し方も参照してください。
「あれ、どうやるんだっけ」とこうした細かいことでつまずくのは毎度のパターンです。
申告書類PDFの1ページ目だけとかの切り出し方も今後、解説したいと思います。分からなければ、写メのアップロードでいいと思います。
事前確認前にしておくべきこと
事前確認の日時が回待っても、手ぶらでのぞんではいけません。最低限やっておくべきことを列記します。
とりあえず、事前確認前に、ID申請のこのページからどんどん手続きを進め、書類をアップロードしてください。必ずやってください。
そのうえで、事前確認前に書類をあらかじめチェックしてもらえれば、確認時間はほとんどかかりません。ほとんどがZoomによるオンライン確認ですが、mokuの場合……
5分でした(笑)
正確にいうと、1分半は雑談だったので、3分程度で終わりました。「Zoomで本人確認ができたのでOKです。宣誓内容を確認しておいてください」。それだけでした。
申請が終わると、事務局から事前確認通知番号が発行され、本申請ができるようになります。すでに、入力や必要書類のアップロードをしているので、即申請をします。
申請内容確認中の表示が出たら、とりあえず、申請作業は終わりです。事務局からの問い合わせがあれば、下の「不備内容の連絡」に表示されます。その際は、事務局に指示に従って、対応しましょう。
事前確認は一プロセスにすぎない
1点だけ、強調しておきたいことがあります。事前確認は受給が正式に決まる一プロセスに過ぎないということです。
一度で通らなくてもあわてない
書類の不備や数字のそごがあると、事務局から問い合わせがあります。メールでも来ます。
ちなみに、申請から1週間ぐらいたって不備通知がありました。
そういうものだと思って、粛々と対応しましょう。
面倒くさいからといって、申請を取り下げるようなことは避けてください。
再申請して1~2日(営業日)すると、次のような申請ステータスになります。この段階で、申請が受理されたことが分かります。
さらに3日(営業日)ほど経過すると、銀行口座に支援金が振り込まれます。
申請→不備→再申請があったので、申請から振込まで20日程度要したかと思います。支援金の申請は、登録機関による事前確認がネックになっているようですが、無料で確認をしてもらう方法を解説しました。
月次支援金も同様の手続きになると思われるので、売上ダウンで困っている個人事業者はトライしてみてください。