2019年10月1日から消費税が8%から10%になり、消費の落ち込みを少なくするため国のキャッシュレス還元事業も始まりました。
しかしながら、現金決済がほとんどのシニア世代やお年寄りはカヤの外に置かれます。
お年寄りにも使えるキャッシュレス決済といえばクレカでしょう。VISAとかJCBとかAMEXのことですね。1枚ぐらいは持っているでしょう。でも、クレカを使いたがらないお年寄りは多いのではないでしょうか。
キャッシュレスと無縁な中高年
89歳になる田舎の親父もクレカなんて使いません。持っているだろうが、使ったことはないと思います。買い物するとき、外食するとき、電車に乗るとき--。財布から小銭や札を取り出し、支払った後におつりをもらいます。あらゆる消費のシーンが現金のみで、キャッシュレスとは無縁です。
せいぜい、電気料金などを銀行引き落としにしているだけで、いまさら日常の買い物でクレカを使えとは言えません。言っても、面倒だと思って聞く耳をもちません。なので、消費増税は、キャッシュレス決済とは無縁の現金派にとっては、打撃でしかありまません。
国のキャッシュレス・消費者還元キャンペーンは知りません。このために、国はとんでもない巨費(税金)を投じていますが、その恩恵を受けられないお年寄りが多いと思います。
まさに、年寄りや中高年、情報弱者をターゲットにむしり取る消費税上げです。
これに加えて、消費税上げに伴う値上げラッシュです。店頭のあちこちに、価格改定(値上げ)のお知らせがみられます。「税込み価格」の値上げならまだ許せます。でも、「税抜き価格」の表示で値上げしているのは「便乗」です。人件費の高騰とかもっともらしい理由をつけていますが、あきれます。
そこまで小さなお店は疲弊しているとも言えますが、値上げ→売れなくなる→店がつぶれる--の負のスパイラルに陥ることでしょう。
クレカよりQRコード決裁(スマホ決済)で
なぜ、シニア世代がクレカを敬遠するのでしょうか。よく言われる「使いすぎが心配」というのではありません。クレカというは付け払いです。翌月または翌々月に返さなければならない一時的な借金です。このため、日常の買い物や少額決済で、クレカを使うことに抵抗があるのではないでしょうか。
後日送られてくるクレジット明細に、コンビニで買った100円のミネラルウォーター、スーパーで買った350円の野菜の少額決済が、ずらりと並んでいる。いい気はしません。
何もいちいちクレカで払うことはないだろう、現金でいいじゃない。そう思うのではないでしょうか。その結果、本来ならキャッシュレス決済でもらえるポイント還元をもらわず、損をしているのです。
少額のポイント還元でも積もり積もると、無視できない額となります。年金ベースの家計にボディーブローのようにずしりと響いてきます。
そこで、現金決済のシニア世代や中高年がもっとも抵抗のないキャッシュレス決済を考えてみました。クレカではありません。いわゆるQRコード決済です。スマホ決済、バーコード決済と言ってもいいでしょう。お年寄りには聞き慣れないでしょうが、現金を貯めておいて使うお手軽決済です。追って解説をしていきます。
PayPayの2割還元とは 実例で紹介
ついこの前、東京都内で食事をしました。涼しくなってから夏のつかれがドッと出た感じで、体調はあまりよくありません。そこで、たまにはうなぎでも食べて精を付けようと思って奮発しました。といっても、大衆的なうなぎ屋さんです。
店員さんのおすすめで、1日8食限定というお得な「きざみうな重」(2200円)を注文しました。きざみうなぎがたっぷり載っています。うなぎが肉厚です。甘すぎるタレが苦手なのですが、上品な甘さでよかったです。うな串4本セットも食べました。ビールもお茶ハイも飲みました。
アルコールが高めです(ビール中瓶750円)が、値段も良心的です。記録的豪雨をもたらした台風19号上陸の前夜にもかかわらず、ほぼ満席でした。普段使いをしたいお店でした。
うな串4本セット 見るからに精が付きそう

肉厚うなぎの半身がきざんで載っています
以下が会計のレシートです。実はここはQRコード決済で支払っています。レシートの一番下を見てください。「掛売」とありますね。掛売というのは会計(簿記)用語で、「客の代金は付けでお店に支払われます」という意味です。
「付け」はもちろん後払いですね。お店に対しては、クレカ会社やQRコード決済会社から後からお金が支払われるということです。
PayPayに現金をチャージして支払い
ではレジで支払い手続きをした後のスマホ画面はどうなっているでしょうか。支払い方法はQRコード決裁のPayPayです。現金をチャージしておいたPayPay残高で支払いました。チャージというのは、ATMであらかじめお金を貯めておくという意味です。これなら、お年寄りにもできそうな気がします。
つまり、プリペイド(前払い)カード代わりにスマホを使うのです。現金チャージができるSuicaなどの交通系ICカードとまったく同じです。
PayPayをプリペイドカード代わりに使えば、クレカも預金口座も必要ありません。
そのメリットに着目してください。スマホの画面に「1000円相当のPayPay残高が付与されます」というお知らせが表示されていますね。つまり、現金をチャージしてPayPayで支払ったら、後から1000円分(20%)が戻ってくるという意味です。
これが、PayPay支払いの20%還元です。
この20%の中には、国の消費者還元事業分(5%)が含まれている可能性があります。この場合は、残りの15%分はPayPay株式会社が自腹を切って、消費者に還元していることになります。
一方、このお店が、国の消費者還元対象店でなければ、20%丸々PayPayの持ち出しです。ちなみに、食事をしたうなぎ店はエリア限定のキャンペーン対象になっていました。

会計の際、PayPayで支払った表示画面
ただ、こんな大盤振る舞いのキャンペーンがずっと続くわけではありません。一方で、消費増税に前後して、クレカ会社、QRコード決済会社はこぞって還元の割り増しキャンペーンを展開中です。
特にPayPayはこれでもか、とやってきます。どこも、メーン決済手段として将来にわたって消費者を囲い込みたいのです。
キャッシュレスどころか、ほとんどが店で現金払い
さて、うなぎ屋さんのほかのお客さんの支払いはどうしていたでしょうか。
さりげなく観察すると、クレカで支払っている人もいました。その場合は、5%の還元(国の還元事業)が受けられるはずです。ただ、圧倒的に多いのが現金です。サラリーマンとおぼしきグループは割り勘の現金を集めて、まとめて支払っていました。消費者還元は一切受けられません。
太っ腹です。
というより、お得なことが分かっていても、面倒くさそうだからいいや、というのが多数派ではないでしょうか。自分もそうでした。実はPayPayのアプリをスマホにダウンロードしたのは1週間ほど前です。それまでは、コンビニも、飲み屋も、駅の売店もすべて現金でした。Tカードも持っていますが、提示することすらしませんでした。
どれほどお店の養分となり、貢いできたことでしょう。
中高年、シニア世代はキャッシュレスで自己防衛を
では、なぜ、ここにきて、キャッシュレスにしたのでしょうか。国が音頭をとる消費増税に限らず、あの手この手で、いろいろと理由をつけられて、なけなしの金をむしりとられる危険を察知したからです。
シニア世代を生き抜く自己防衛策です。
そもそも、ポイント還元はすべてお得だと考えたら早計です。そのポイント分、商品の値段があらかじめ高く設定されているかもしれません。そして、現金を使って、そのまま高い値段のまま買ってくれる中高年やお年寄りがいます。その分をポイント還元の原資にしているのかもしれません。
お店も、事業者も、決済業者もボランティアでないので、もうかる仕組みが必ずあります。でないとつぶれます。
次回は中高年向けのPayPayの具体的な導入法です。中高年はPayPay一択です。登録や手続きが必要となるクレカや銀行口座が必要ないからです。