個人事業主やフリーランスにとって、年明けは確定申告の季節です。税理士に頼まなければ、3月15日の締め切りに向けて、煩雑でうっとうしい独自の戦いが続きます。
個人事業主だけではありません。
会社員でも副業で20万円以上の所得(売上から経費を引いたもうけ)があったり、2つ以上の会社から給料をもらっていたりしたら、所得税の確定申告をしなければなりません。
ご存じのように、日本の税制は源泉徴収が基本です。
株式の配当もそうです。株式の売買益も証券会社の特定口座(源泉徴収あり)なら、所得税と住民税が勝手に源泉徴収されます。
そこから見えるのは、とりあえず、国民から税金を前もって機械的にむしりとっておこうという国の基本的なスタンスです。
日本人は羊のような国民性なので、何も言いません。
国は取りやすいところから取ります。
2019年10月から消費税が上がりましたが、大きな反発はありませんでした。広く浅い税制で影響を受けるのは、低所得者や年金生活をしているジジババです。
自分もこれまで羊でした。こんなん……
でも、還暦の足音が聞こえてきたので、それではいけない、それでは生きていけないと思い、これまで源泉徴収されまくっていた税金を丁寧に取り戻していこうと考えるようになったのです。
節税ではありません。これまでしなければならなかったことを、してこなかったのです。
その一つが、e-Taxを使った株式の配当金の申告です。
納め過ぎた(源泉徴収された)税金の還付が目的です。
実は医療費控除は2017年分、2018年分としたのですが、株式の配当金の申告も2019年分からすることにしました。これまで、あまりに少額だったので、源泉徴収されっぱなしで、何もしていませんでした。
ちなみに、ぼくは2018年分の確定申告から、e-Tax(国税庁の電子申告システム)を使っています。e-Taxの申告書作成コーナーは、年明けから使えます。
ここでは、株式配当の申告の下準備を説明します。
具体的には株の配当金の集計フォームを作成を解説していきます。
配当金の申告は、その他の所得と合算して税率をかけて計算する「総合課税」、その他の所得とは切り離して計算する「分離課税」が選べます。どれがお得かは、所得の大小などで変わります。源泉徴収されっぱなしで、申告しなくてもほとんど「お得度」が変わらないこともあります。ここでは、こうした個々の事情に応じたお得度や節税策には触れません。e-Taxで配当金を申告する際の具体的なシートの入力方法を解説しています。
目次
株の配当金って 株売買との違いは
株式の配当金は企業の株を持っていると、株数に応じて、もうけからお金を分けてもらえる仕組みです。企業がもうかればもうかるほど配当金は多くなるのが普通です。ただし、無配の企業もあります。さまざまな事情です。
配当を出さないで、株価を上げることで存在価値をアピールしている巨大IT企業もあるようです。
株式売買では、株価が高くなったら株を売り払い、差額をもうけます。株式の配当はこれとは異なります。株価は国際情勢や為替レートによって、企業業績とは時には無関係に、乱高下することがあります。
でも、企業業績がそんなに大きくぶれなければ、配当は比較的安定します。
株価が20%安くなったとしても、成長性は怪しくても企業業績はそのまんま、配当もそのまんま、という企業だってあります。
ちなみに、2019年11月現在の東証一部上場企業の配当利回り(金利みたいなもの)は加重平均で2・25%と高水準です。つまり、100万円の株を買ってもっていれば1年後に2万2500円の配当がもらえるということです。
10億円の株式なら、2500万円の配当ですね。
資産家というのは、このように、リスクがより高い株の売買より、主に配当や不動産で不労所得を得ているのです。
それでは、確定申告における配当の計算をしてみましょう。
配当金計算書を用意
こんなんの用意します。おなじみですね。
郵便局へ持っていくと、現金にしてくれる引換券(領収書・郵便為替)の中にあります。企業ごとに年に1~2回郵送で届きますね。
この受け取り方は、配当金領収書方式といわれるようです。これが配当金をもらったという証明になりますので、申告する企業分をすべてそろえてください。A4の用紙に2枚ずつはっておくといいでしょう。
これって、よく見ると、こんな記述がありますね。
「支払通知書」を兼ねているので、確定申告を行う際は、本票をその添付書類としてご利用いただけます
一方で、mokuのように郵便局で現金をもらうのではなく、証券口座での配当金受け取り(株式比例分配方式)が普及していますが、今回のアナログな申告手続きとはやや手順が異なります。
郵便局で配当金を受け取る方式より、申告がかんたんになりますが、その点はご了承ください。
配当集計フォームをダウンロードする
さて、e-Taxでの確定申告では、「配当集計フォーム」をあらかじめ用意しておくと、申告書類の作成の手間がはぶけます。
国税庁の作成ページで一挙にアップロードしてしまえばいいので、これを用意しておくと、いちいち手入力する必要がありません。
つまり、申告書類を作成するための下準備です。
まず、国税庁のHPにアクセスします。
確定申告書等作成コーナーをクリックし、右側にある「配当集計フォーム」をダウンロードしましょう。
ダウンロード先はどこでもかまいませんが、行方不明にならないようデスクトップにしておくのがいいでしょう。
ダウンロードしたファイル名は「haitou_form_v5.xlsx」です。エクセルファイルです。
開くとこのような表です。
下記の表は古いのですが、最新は「令和2年分以降用」となっているはずです。
配当金計算書を見ながら入力する
次は配当金計算書を見ながら、入力です。
まずは、表の左側の①~②はこのように入力しましょう。
プルダウン(エクセルのセルの右下をクリックすると出てくるメニュー)からも選べます。今回は上場株式の配当金を集計するだけですので単純です。
②は銘柄、つまり上場企業の名前です。
いちいち立ち止まって意味を考えてはいけません。シニア世代は考えると先に進めなくなります。こういうものだと思ってください。自分もそうしています。
国税庁HPにも解説ページがありますが、ぼくは読んでも分かりません。枝葉末節も書かれているので、どれが重要なのか途方に暮れるのです。
今度は右側の入力です。配当金計算書を見ながら入力しましょう。
順番に入力していきましょう。
配当金計算書ごとにどんどん入力していきます。
- ②は銘柄、つまり上場会社の名前です
- ③の「支払の取扱者」は配当計算書右下の信託銀行名を書いてください。
- ④の収入金額というのは税金が引かれる前の配当金額のことです。実際に支払われる金額ではありません。
- ⑤の源泉徴収額は所得税(国税)と、⑥の住民税(地方税)に分けて入力します。配当金計算書とエクセルを見比べて確認していきましょう。
集計フォームは入力したら保存しておく
集計フォームは、e-Taxで確定申告の書類を作成する時に、アップロードします。保存しておきましょう。逐一入力する手間がなくなるので、やっておいてよかった、と思うはずです。
集計表のアップロードは確定申告書作成等作成コーナーから
具体的な申告書の作成は以下のページからです。
会社員なら源泉徴収票などを用意して、言われたとおりに転記をしていきます。副業をしていたり、事業収入や不動産収入があったり、それぞれ、作業内容や入力項目は異なりますので、途中の作業は割愛します。
ただ、何度でもやり直しができます。下記はいきなり集計ファイルのアップの画面ですが、参考にしてください。
なんとかここまでたどりついてください。
ここで、配当集計フォームから読み込むのは、
- 上場株式の配当なのか
- 非上場株式の配当なのか
- その両方なのか
をチェックします。上場株式は所得と切り離して計算する分離課税として計算され、非上場課税は総合課税(所得と合算)になります。
自動的に振り分けられます。
ちなみに、非上場株式というのは、上場していない勤務先の持ち株会の配当などが想定されます。ただし、ほとんどの方がこうした配当はないと思われるので、左の「上場株式の配当」にチェックです。
入力した配当集計フォームを読み込みます。どこのフォルダーにそのファイルがあるのか、あらかじめ調べておきましょう。
開くをクリックすると、配当集計フォーム名にファイル名が表示されます。Excelファイルです。
クリックして読み込みましょう。
読み込んだ情報が表示されます。収入金額や源泉徴収額が合算されて表示されています。
最後に「配当所得に反映」ボタンを押せば、上場株式ならば申告書の分離課税分に反映されます。
以上、株式配当の入力手順を説明をしてきましたが、なにがなんだから分からなかったら、実際に手を動かしながらやってみてください。そうすれば、分かるかもしれません。